トヨタ・プリウス
プリウス(Prius) は、トヨタ自動車が1997年に世界で初めて市販した量産ハイブリッドカーである。現在、世界44ヶ国で販売されている。
発表当時のキャッチコピーは「21世紀に、間に合いました。」
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概要
- 形状
- 形状は、2002年モデルまでは小型セダンで5ナンバー。2003年モデルからは5ドアハッチバックとなり、海外市場を考慮してやや大型化、車幅が1,725mmと拡大されたため3ナンバーとなった。
- デザインは未来志向を意識し、外観は当時は珍しいフロントグリルとボンネットをシームレスにつないだ優美な形状となっている。これは空気抵抗の減少にも寄与している。また、専用の超軽量アルミホイールを装着し、さらにその上に樹脂製のホイールカバーを装着するという珍しい手法を採用した。なお、これは2代目にも引き続いて採用されている。
- 駆動ユニット
- 駆動ユニットはTHS(Toyota Hybrid System)と呼ばれ、アトキンソンサイクル方式の1NZ-FXE型ガソリンエンジンと1CM型電気モーターを併用して動力を発生する。1CM型はマイナーチェンジ時に改良され2CM型となる。2代目に搭載されているユニットは、THS IIと呼称される発展バージョン。なお、トヨタのハイブリッドシステムはこの他にも、クラウンなどに搭載されている簡易ハイブリッドユニットであるTHS-M(マイルドハイブリッド)、エスティマやアルファードに搭載されたTHS-Cなどのバリエーションがある。またバッテリーは小型トラック(日野・デュトロ)や大型路線バス(日野・ブルーリボンシティ)のハイブリッド車にも採用されている。後述の#ハイブリッドシステムの特性も参照。
- インテリア
- インテリアの最大の特徴としてセンターメーターがある。現在でこそ多くの車種で採用されているが、当時は珍しいため話題を呼んだ(ただし、センターメーターは以前から存在していた)。また、5.8インチマルチインフォメーションディスプレイ(運転席と助手席の間に埋め込まれた液晶画面で、オーディオやカーナビゲーション、エアコンなどの機能を表示、制御できる。セルシオ、ソアラ、クラウンのエレクトロマルチビジョンで実用化済み。)を始めからインテリアデザインに盛り込む設計がされたのも、同時期にデビューしたハリアーとともに初めての試みである。これらは後の乗用車全般のインテリアデザインに大きな影響を与えた。なお駆動形式上の特性から、タコメーターは持たない。また水温計も省かれているため、自作あるいは社外品のタコメーターや水温計を取り付けるユーザーもいる。
- 電子制御
- 2代目モデルでは、キーをポケットに入れておいて近づくだけでロックがはずせる「キーレスドアオープン」、後方カメラの映像上で場所を指定するだけで駐車のハンドル操作を自動化できる「インテリジェントパーキングアシスト」、横滑り防止機構と電動パワーステアリングを統合制御する「S-VSC」などの最新技術が投入された。
- 取り扱い
- 初代はトヨタ店のみであったが、2代目からはトヨタ店とトヨペット店の2チャンネル併売となった。また、販売台数も2代目からは格段に増え、発売後半年経っても、購入から納車まで数ヶ月待ちという事態も起きた。
- 2007年12月8日のasahi.com([1])の報道によれば、2009年春に予定の3代目では、レクサスを除くネッツ店とカローラ店にも広げ、トヨタの全販売店で販売するとしている。トヨタの全販売店で販売する車種の登場は、トヨタが現体制になった1982年以降、初めてとなる。
歴史
初代(1997年-2003年)
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- 1997年に世界で初めての量産ハイブリッド自動車として登場した。発表当初の燃費は28.0km/l(10・15モード)とガソリンエンジン車としては驚異的なものであったが、その後さらにマイナーチェンジを重ねて徐々に燃費を向上。1998年度グッドデザイン賞を受賞した。
- 2000年マイナーチェンジを実施。超-低排出ガス認定(☆☆☆)を受ける。10・15モード燃費が29.0km/lに向上。また、2000年モデルから北米での販売が開始された。前記型と後期型は、バンパーの形を見れば容易に区別できる。
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皇宮警察のパトカー |
2代目(2003年-)
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- 2003年9月1日フルモデルチェンジ し2代目プリウスが発売された。搭載される駆動システムをTHSIIとし、ボディも先代より大型化し、形状も4ドアセダンから5ドアハッチバックになった。10・15モード燃費を35.5km/lとした。また、2003年度グッドデザイン大賞を受賞した。
- 2005年11月1日マイナーチェンジ。フロントグリル・ヘッドライト・リアコンビネーションランプ・メーカーオプションのナビ(DVDからHDDタイプ)が変更され、フロントフェンダー部にHYBRIDの文字エンブレムが追加された。またハロゲンヘッドランプ車にはマニュアルレベリング機能が付いた。その他、ボディ剛性の向上、遮音性の向上、サスペンションのチューニング等、乗り心地に関する点が大幅に改良された。
- 2007年4月2日プリウス生誕10周年を記念して、SグレードにHDDナビ、スマートエントリー&スタートシステム等の特別装備を追加したS"10th Anniversary edition"を発売。
- 2007年9月3日マイナーチェンジ。新燃費基準の試験方法となる燃費表示JC08モード(29.6km/l)認可。「2015年度燃費基準」達成。
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サーキットバージョン(メガウェブ) |
ハイブリッドシステムの特性
システムのメリット及びデメリットを以下に挙げる。
メリット
- ガソリンエンジンの効率が悪い低回転域では、低回転トルクに優れる電気モーターを使用して効率的に発進・加速できる。
- 極低速時などモーターの動力のみで駆動できるときや、停止中のエアコン使用時でも、バッテリーの充電状況が十分であればエンジンをストップできるアイドリングストップ。
- 減速時に運動エネルギーを回収して発電・充電することが可能な回生ブレーキ。
デメリット
- ハイブリッドシステムの限界
- ハイブリッドカーは登場したばかりということもあり、ハイブリッドシステムの特性も周知されにくいことから、プリウスにおいても以下のような意見がある。
- 燃費の計測環境の違いにより、カタログ表記の燃費と実用上の燃費における差が大きい。カタログ値が高い分、他のガソリン車と比べて差が大きくなる。
- ハイブリッドシステムの構造上、短時間でストップ&ゴーが連続する街乗りではそのメリットを遺憾なく発揮することができるが、長い上り坂や下り坂ではシステムの性能を十分に活かしきれなくなる。なぜならば、上り坂ではモーターアシストでバッテリーを使い切った後、モーターやバッテリーは単なるデッドウェイトと化してしまうし、下り坂ではバッテリーがフル充電された後、回生ブレーキが有効に機能しなくなる(回生失効)からだ。
- LCA
- 有害物質の排出量軽減という観点では、確かに走行中の有害物質の排出は少ない。しかし、バッテリーやインバーター素子を含むハイブリッドシステムの部品の製造と廃棄に伴う有害物質の排出量は、ハイブリッドシステムを搭載しない車両よりも明らかに多いものとなる。このため、車両のライフサイクル全体における有害物質排出量の総合では、従来のガソリン車との比較という形で謳われているほど軽減されていないという指摘がある。
- トヨタはLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)を計測し、「旧型のガソリン車」よりも、10年10万km走行時の環境負荷を抑えているとコメントしている[1]。しかし、このコメントにおいてはハイブリッドシステム関連の部品が計測対象に含まれていない模様で、第三者による検証が待たれる。
- 寿命に関する懸念
- 高性能な燃費を支える主要部品であるインバータや駆動用のHVバッテリー等は、運用によって発生する熱や電圧、あるいは充放電サイクル等によって必然的に疲弊・劣化する「消耗品としての性質」を持つ(特にバッテリーに関しては、ノートパソコンなどでも同様の問題に直面している事で知られる)。そのため、車両やエンジン本体の寿命よりも短い周期で、ハイブリッドシステム用部品の交換が必要となる。これら部品の寿命設定やメーカー保証の問題については、メーカーの姿勢・体制が確立されておらず、また、ユーザーへの周知・理解も進んでいない。これらはタイヤや鉛バッテリーのようにユーザーの自己負担で交換すべきであるのか、メーカーが保証し無償交換すべきものであるかについてのコンセンサスは、ハイブリッドシステムの歴史が浅いこともあり形成されていない。
- 初代プリウスは、インバーターやHVバッテリー等を有償で交換した場合には、実費で約40万円程度の負担になるといわれている。2代目ではバッテリー交換費用は13万円程度である。短期間で交換が必要になったという報告は無く、メーカー側は名目上「5年または10万キロ」の保証を謳っている。
- 主要部品の交換は、所有者にとっては車を維持してゆく上で負担となる可能性があるが、現在のところこれらのパーツを有償で交換した例はまだ報告されていない。これは、ディーラー側で無期限の無償交換キャンペーンを展開しているためである。
- 低騒音ゆえの問題
- 低速域ではエンジンが停止しモーター走行となるため、通常のガソリン車よりも走行音が極端に低い、あるいは全くしない状態で走行する場合がある。そのため歩行者に気付かれにくい、気付いてもらえない場面がしばしば見られる。特にこれは、音により判断することが多い視覚障害者が危険にさらされやすい。低速域でのことであるため重大事故にはつながりにくいとはいえ、ユーザーを悩ませている問題であることも確かである。
評価
同等クラスのガソリン車と比較すると、燃費では高い経済性を持つが、車両本体価格が高く、価格差を燃費で相殺するまでには相当走らなければならないことが、大幅な普及を妨げている。
しかし、プリウスは価格差を将来的な燃費との格差で相殺するといった動機よりも、直接的な環境負荷の低減やEV機能などを評価して購入すべきであるという見方も強い。実際、アカデミー賞に俳優がプリウスに乗って登場したように、プリウスは環境に良いというブランドイメージが強いのである。
そのため、この世界初の実用ハイブリッド車は、自動車評論家や「自動車は燃費がよく乗り心地もよく荷物が詰めれば十分」と考える消費者からは、非常に高い評価を得ている。
アメリカでは、プリウスは非常に高い人気がある。カリフォルニア州では州の厳しい規制をパスした当時唯一のガソリンエンジンの実用車としてプリウスが話題を呼び、環境問題に積極的な人々を中心として次々にプリウスを購入したことから、ハリウッド・スターなどのセレブリティも環境問題に積極的であるということをアピールするために(これが富裕層にとってある種のステータスであるという一面もある)こぞってプリウスをマイカーに選ぶ、という時期もあった。中でもレオナルド・ディカプリオは数台購入したといわれる。現在でも、原油価格が高騰しているという理由で人気が冷めず、最長で半年待ちとなるほど予約が殺到しているという。
ディーゼルエンジンとマニュアルトランスミッション指向の強いヨーロッパにおいても、環境問題への関心の高まりから、イギリスなどを中心に高い評価を得ている。2007年のフランクフルトモーターショーをはじめ、大陸ヨーロッパでも積極的なプロモーションが始められた。 2000年に発売されたヨーロッパでは、2007年8月までに約10万台のトヨタ・ハイブリッドが販売された[2]。トヨタのハイブリッド車は同年5月に販売累計が100万台に達していることから、その約1割が欧州市場での販売であったことになる。イギリスのAmberjac Projects社では、プリウスに搭載されたニッケル水素電池をリチウムイオン電池に載せ換えて、燃費や航続距離を改善するという改造を行なっている。
日本国外での受賞
- 北米カー・オブ・ザ・イヤー(2004年) - 2001年にもノミネート
- ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー(2006年) - 37人の審査員からの最高得点を得て計406点で1位を受賞
他、多数の受賞がある。
また、ヨーロッパの自動車衝突安全テストユーロNCAPでは、星5つの評価を得ている。
レンタカー
一方、一部のレンタカー会社(及び地域)で車種をプリウスに限定したキャンペーンが行なわれることがある。この場合のレンタル料金は一般車種とほぼ同額であり、利用者にとっては自分で購入するのと異なり車輛価格が高額であることを意識せずに済む上一般に燃料費も安くつき(走行距離が長ければ若干レンタル料金が高くても燃料費の差額で十分元がとれてしまう)、またレンタカー会社としても車輛の回転効率を上げることで初期費用を早く回収することができるので、利用者と所有者のどちらにとっても有益であり、ハイブリッド車の普及を図る上では非常に有効な手段であると言える。アメリカ合衆国の大手レンタカー会社では、2007年7月現在エイビス・レンタカー(Avis)が約1,000台のプリウスを保有するほか、ハーツ・レンタカー(Hertz)が2008年までに3,400台のプリウスを導入し、ニューヨーク市などハイブリッド車の需要が旺盛な地域に重点配備することを発表した[3]。エイビス・レンタカーはイギリスでもプリウスを保有し、ロンドンなどに配置している[4]。
車名の由来
- Prius ラテン語で「~に先立って」の意味。
その他
脚注
関連項目
- Honda IMAシステム(本田技研工業のハイブリッドシステム)
外部リンク
- トヨタプリウス(公式ページ)
- トヨタプリウス(ヨーロッパ)
- プリウスマニア(ネット上のオーナーズクラブ)
- Amberjac Projects社
- 1998年度グッドデザイン賞受賞の概要 - グッドデザイン賞公式サイト
- 2003年度グッドデザイン大賞受賞の概要
- 二代目プリウスのユーロNCAPの評価詳細